車椅子は、座ったまま、ある場所から別の場所へ移動するのを援けます。
すべての車椅子には、いくつかの重要な機能があります。
重要な機能
安全かつ効果的であるために、すべての車椅子が満たすべきことは:
- 強度と耐久性がある
- ケガを防ぐなめらかな仕上げ
- さまざまなサイズが利用可能
- ブレーキがある
- 高さ調節可能なフットサポート (足台) と下腿または足首ベルトを備えている
- クッションがある
- ユーザーの体重を支えられる仕様


緊急時用で考慮すべき機能
サービス供与を迅速にするため、以下を備えた車椅子を検討してください:
- すばやく組み立て可能
- 調整とフィッティングがかんたん
一時的車椅子ユーザー向け車椅子は、長期的車椅子ユーザー向け車椅子よりも、調整の余地が少ない場合があります。
緊急状況の地面は、荒れているか凹凸があることが多いため、以下の、荒れ地に向く車椅子の機能を検討してください:
- 太いタイヤ
- ノーパンクチューブ
- 大径キャスター輪
- 駆動輪とキャスター輪の車軸間距離 (ホイールベース) が長い

長いホイールベース
その他の調整可能な機能
押し手:
- 介助者が用いる
- 高さは調整可能でよいが、本人がこぐ時にじゃまにならないようにすべき
駆動輪、ハンドリム、キャスター輪:
- 車椅子をこぐために用いる
- 大径のキャスター輪は、荒れ地でもこぎやすい場合がある
バックサポート (背もたれ) とシート (座面):
- 車椅子にしっかり座れるよう支える (必ずクッションを使用)
- さまざまな身長の人に合うよう、異なるサイズがあることが重要
アームサポート (ひじ掛け):
- 立ち上がるさい身体を持ち上げるために用いる
- 衣服を汚れからまもる
- はね上げ式や着脱式がある

バックサポート (背もたれ)
バックサポートには、さまざまな高さのものがあります:
- バックサポートが高いほど、支えが大きくなります
- バックサポートが低いほど、肩が自由になり、楽にこげます

マリアに出会う
マリアには多発性硬化症があります。これは、脳と脊髄の神経を障害する疾患です。
彼女は、支えなしで座るのは困難で、高いバックサポートの椅子を使用しています。

ピーターを覚えていますか?
ピーターは壮健で活動的なので、低いバックサポートによって自由に動け、効率よくこげます。
質問
以下のうち、低いバックサポート (背もたれ) 位置が有益そうなのはだれでしょうか?
当てはまる答えをすべて選んでください。
次のような人:
b、d、eを選んでいれば正解です!
壮健で活動的な人、支えなしでうまく座れる人は、低いバックサポート (背もたれ) 位置によって肩が自由になり、効率よくこげます。背が非常に低い人にも、低いバックサポート (背もたれ) 位置は有益です。
a、c、fは誤りです。
疲れやすい人や、支えなしではうまく座れない人には、高いバックサポート (背もたれ) による追加の支えが有益です。非常に背が高い人も、高いバックサポート (背もたれ) 位置が有益な場合があります。
駆動輪
車椅子によっては、駆動輪の位置を複数選択できるものもあります。
安全な駆動輪位置にすると、車椅子は坂の登り下りでより安定しますが、こぐ時に重く感じられます。駆動輪位置は本人に対してより後方になります。
活動的な駆動輪位置にすると、車椅子が坂を登り下りする際の安定性は落ちますが、こぐのは楽に感じられます。駆動輪位置は、本人に対してより前方になります。

安全な駆動輪位置

活動的な駆動輪位置
質問
以下のうち、より安定した (安全な) 駆動輪位置が有益そうなのはだれでしょうか?
当てはまる答えをすべて選んでください。
次のような人:
c、d、e、fを選んでいれば正解です!
四肢を失っている人、身長が非常に高い人、とつぜん制御できない運動に見舞われる人、車椅子をこぐことに不安がある人は、坂の上り下りで不安定さを感じる場合があります。
a、b、gは誤りです。
活動的な人、ウィリーができる人、身長が非常に低い人には、より軽量で活発にこげる車椅子が有益です。
移乗のための機能
ここまで、バックサポート (背もたれ) の高さと駆動輪位置が、こぐことにどう影響するかを見てきました。
移乗のために重要な車椅子の機能について、詳しく見ていきましょう。
車椅子からの移乗に関する、この動画を視聴してください。
質問
移乗する際に考慮すべき、特に重要な機能はどれでしょうか?
c、g、jを選んでいれば正解です!
考慮すべき特に重要な機能は、フットサポート (足台)、アームサポート (ひじ掛け)、ブレーキです。
フットサポート (足台)、アームサポート (ひじ掛け)、ブレーキは、移乗時にじゃまになることがあります。これらを動線からどけると、移乗が楽になる場合があります。ブレーキは、移乗時に車椅子を静止させ、安全に保つために重要です。
a、b、d、e、f、h、i、k は誤りです。
ディスカッション
利用可能な車椅子を観察してください。着脱可能な、または折りたたみ式のフットサポート (足台) やアームサポート (ひじ掛け) は付いていますか?
まっすぐに座るための機能
次の活動を完了し、どの機能がまっすぐに快適な姿勢で座るために重要なのかについて、理解を深めてください。
活動
グループで交互に車椅子に座り、快適かつまっすぐに座るよう支えるために、特に重要な機能について話し合ってください。

b、d、e、f、gを選んでいれば正解です!
バックサポート (背もたれ)、クッション、シート (座面)は、上体と大腿を支える主な機能要素です。
フットサポート (足台) と下腿ベルトは、下腿と足を支える主な機能要素です。
これらの機能が、まっすぐに座るために役立っています。
a、c、h、i、j、k は誤りです。
まっすぐに座るのが困難な場合
基礎的な車椅子には、だれもがまっすぐに座れるわけではありません。
人によっては、車椅子に、追加の支えや専用の座位保持具が必要です。
これらは、安全かつ快適に座るために役立ちます。
クッション
あらゆる車椅子は、クッションを備えるべきです。
緊急状況では、2種類のクッションが必要になります。
- 車椅子クッションは、車椅子使用時の座りごこちを向上させます
- 除圧クッションは、褥瘡が発生・悪化する危険がある人に、さらに除圧と保護を提供します

車椅子クッション付き車椅子

除圧クッション付き車椅子
以下を読み進め、褥瘡についての理解を深めてください。
褥瘡 (じょくそう)
褥瘡とは、皮膚組織が破壊されることです。通常、背中、腰、座骨などの骨ばった部位で発生します。
皮膚に現れる痕は、褥瘡の最初のサインです:
- 肌の色が薄い場合、痕は赤くなります。
- 肌の色が濃い場合、痕は青/紫色になります。

ステージ1

ステージ2

ステージ3

ステージ4
褥瘡は、感覚が失われている人や、動いたり体位を変えたりが困難な人に、よく見られる問題です。
褥瘡を負ったことがある人には、ふたたび褥瘡を負う危険があります。
ディスカッション
知り合いで褥瘡を経験した人を思い出してください。だれも思い付かなければ、他の人に、だれか知らないか聞いてみてください。
その人に、以下のことはありましたか:
- 感覚の喪失
- 動いたり姿勢を変えたりの困難
- 過去にあった褥瘡
- 損傷が発生・悪化する他の理由
褥瘡の危険がある人は、みな除圧クッションを使用すべきです。
げんざい褥瘡がある人は、創傷評価のため、保健専門家に紹介・相談されるべきです。
褥瘡について、より詳しくはTAP 移動支援製品モジュールで学んでください。
替えの除圧クッション
膀胱や腸からの漏出がある場合、クッションが濡れたり汚れたりすることがあります。
皮膚損傷はただちに起こり、褥瘡が生じる可能性があります。
替えの除圧クッションがあれば、他のクッションとカバーを洗濯・乾燥する間も車椅子を使い続けられます。

漏出の問題がある人は、失禁の事前評価へ紹介・相談されるべきです。
皮膚ケアについて、より詳しくはTAP吸収性製品モジュールで学んでください。
オプション機能
脚部挙上機能
脚部挙上機能は、負傷や手術後に脚を上げておき、腫れを抑えるために、車椅子に付加できるオプションです。

断端支持板
断端支持板は、膝下を切断した人への手術後の支えとして、車椅子に付加できるオプションです。
断端支持板は、膝を伸展位 (まっすぐ) に保ち、膝裏の筋肉が硬くなるのを防ぐのに役立ちます。これは将来、義足でうまく歩けるようになるために重要です。

座位保持
まっすぐに座るために追加の支えが必要な人には、座位保持が有益な場合があります。
追加の支えは、まっすぐに座るのが困難な人に、以下4通りの役に立ちます:
- バランス、姿勢、安定性を向上させる
- 快適さを向上させる
- 褥瘡の予防に役立つ
- 将来の姿勢の問題を遅らせるか防ぐ
座位保持付き車椅子は、高度な教習を受けたスタッフが供与する必要があります。
座位保持付き車椅子は、TAPでは取り上げていません。


追加の支えを必要とするのはどんな場合かが判っていると、そうした人を紹介・相談できるため重要です。
座位保持が必要な人の見定め方は、レッスン2で学びます。